高齢者施設における膝下食の分類とその食事の基準化についての検討

摘要

高齢化がすすみ5人に1人が65歳以上の高齢者といわれる超高齢化社会である。人が平均して何歳まで健康に暮らせるかを示す健康寿命と平均寿命との差は6～7歳と大きく，この期間に食欲の低下や阻噂.瞭下の調節機構に問題が生じ，低栄養や誤味などを起こし，生命の危機にさらされる人もいる。介護保険改正においては経口移行加算や経口維持加算が新設され，施設や病院などでは阻噂.瞭下困難者に対して個々の状態に応じた食事を提供していかなければならないが，食事介助の手間や調理の効率性を優先するために高齢者のQOLにつながらない食事を提供しているところもあると考えられる。高齢者施設における食事の問題点として，高齢者施設などに携わるすべてのスタッフが食形態別の呼称や状態に関する共通認識をもっていないために食事の統一がみられていない現状や，キザミ食の利用がむせや食欲の低下，体重減少による低栄養の一因になりうることが報告されていながら，キザミ食が膝下障害に対応した食種の名称としてあげられている。