コケ植物の教材化

摘要

コケ植物は，陸上植物の中で唯一配偶体が生活環の主体を占める植物群であり，植物の進化を考えるうえで重要な位置づけにある．しかし，コケ植物は，小型で花を咲かせないこともあり，一般的にはなじみの薄い植物群である．植物分類学的には，辞類（Musci）、苔類（Hepaticae）、ツノゴケ類（Anthocerotae）の3群に分けられており，日本からは辞頬約1330種，苔類約620種，ツノゴケ類約20種，総数約2000種が報告されている．この種数は，英国から報告されている数の2倍以上にあたる．これは，日本が南北に細長く亜熱帯から亜寒帯までの気候帯に属し，また垂直的には海抜高度差3776mを有しているため，コケ植物が生育可能な環境が多様化しているためと考えられる．