メン法則の波及からd一直底よ'取り出したルイセンコ事件

摘要

メンデルに始まる遺伝学の発展の歴史の中で，暗雲のよ うに立ち込めているのがルイセンコ事件である力5',今日で はその存在すら知らない人も多いかもしれない。分子生物 学の進展により，ほとんどその暗雲は吹き飛ばされ，決着 のついている出来事であるので，当初触れるべきか，触れ ないでおいたほう力;'いいか，いささか逡巡した力5，問題点 のありかがはっきりしないうちにいつの間にか消えてし まったという様相もあるので，取り上げることにした。し かし，振り返ってみると，いくつかの改めて指摘したい点 があるのもこの問題であり，第二次世界大戦後の日本にお いて，ある期間生物学全体にも少なからぬ影響を与え，農 法にも影響を与えたことを忘れるわけにはいかない。その 際，できるだけ，現時点での立場ではなく，当時の状況に 立ち返って振り返ってみることに努めた力、それは必ずし も容易ではなかった。