養殖現場における脱窒の実践的技術とシステム設計

摘要

連載第1回では、陸上養殖(蓄養、観賞用飼育も含む)での安全かつ確実な脱窒を可能にする基本的な原理と研究開発のプロセスを述べた。内陸での陸上養殖では硝酸の高濃度蓄積を回避するため、海水の調達が必要不可欠である。しかし、この換水作業は大きなコストと労働作業を必要とし、陸上養殖の実現を困難にしている。そこで、今回はその得られたノウハゥを活用してどのような手法で実践的な脱窒システムを構築したのか、その技法について述べる。前回述べた通り、われわれが開発した脱窒システムの大きな特徴の1つは「回分式処理」を採用していることである。回分式処理は、①飼育循環水を脱窒システム内に「分取」する、②この水を脱窒システム内の槽(以下、回分槽)で「脱窒処理」する、③硝酸および亜硝酸が完全になくなつた処理水を飼育循環系に「返送」する、という3つの工程を繰り返すことで成り立つ。陸上養殖現場での実機となればこの工程を自動化することが必須となる。