パナマの野生ランの種多様性保全の現状

摘要

パナマ共和国は地球の裏側の北緯8度ぐらいに位置する熱帯の国です。昨年アメリカ合衆国を襲って大きな被害を及ぼした「カトリーナ」などのハリケーンは大体このあたりのカリブ海で発生しますが、まだ生まれたばかりの卵ですから影響はなく、パナマは天変地異のない穏やかな国です。 国土は北海道ぐらいの大きさで1）、南は太平洋に、北はカリブ海（大西洋）に挟まれた海洋性の国です（図1）。 山の高みに登ると、太平洋と大西洋が一望できるのはこの国だけでしょう。 東のコロンビアと接するダリエン地方を除き、高度に土地利用が進んでいます。 パナマは南北南アメリカ大陸に起源をもつ植物、野鳥、昆虫、両生類など豊富な生物資源を有し、隣国コスタリカやコロンビアと並んでラン科植物の宝庫です。国民は多民族で、首都を除きスペイン語以外はほとんど通じません。 主な産業は農業ではなく、パナマ運河に関連する銀行や弁護士事務所などの第三次産業です（図2）。