沖縄実ら海水族館－巨魚の風景－

摘要

1975年，沖縄国際海洋博覧会が開催され，日本政府は海洋生物園（水族館）を出展した．1976年海洋博終了後，跡地は建設省公園緑地課が所管する国営公園となり，生物園は沖縄記念公園水族館として存続した．公園内諸施設中，最む人気のある施設として高い集客力を示した．27年後の2002年8月，老朽化のため閉館，同年11月，あらかじめ隣地に建設されていた新水族館が旧館を継承，発展した館として開館，名称も「沖縄美ら海水族舘」となった．大水槽でのジンベエザメ，マンタの複数飼育，造礁サンゴ類70種の大規模展示，深海の宝石サンゴ類や深海魚の展示など，いずれも世界初，世界一の内容により高い評価を受け，2002年11月の開館からの一年間で276万人の入館客を迎えた．2003年会計年度では249万人となり，これは，わが国68水族館の中で第一位の成績であった．魅力ある，しかし，いまだ一度も飼育されたことのない展示種が多数存在する水族館の飼育動物の状況を活用し，これらの動物の初飼育に挑戦し，成功した結果だと言えよう．高い集客力を発揮する，世界初飼育の展示動物は，多くの観客への環境教育，生物学，とりわけ繁殖、採食生態，飼育でのみ得られる生理値，認知能力などに関する研究にも有益であり，地域社会の振興にも貢献しうることを立証した．