未来飼料.食糧.新素材の可能性を求めて

摘要

ミドリムシ（ユーグレナ）は栄養価が高く，将来の食糧.飼料素材として古くから検討されてきた．近年では飼料として実用化され，機能性食品素材としても実用化の検討が行われている．水産飼料としては，動物プランクトンの栄養強化飼料としてドコサヘキサエン酸（DHA）強化ミドリムシが乾燥粉末として市販され，マダイやヒラメしの仔稚魚の生残率や活力を向上させることが明らかにされている．じニワトリにミドリムシを給餌すると鶏肉中のタウリンが増加することが示され，健康に役立つ機能性鶏肉として高付加価値の鶏肉生産が可能である．また，DHA強化ミドリムシ粉末やその加水分解物は，高血圧自然発症ラットに対し，血圧上昇抑制作用と血清脂質低下作用を示すことも明らかとなっている．さらに，ミドリムシ加水分解物は血糖値の低下作用をもつことも明らかになり，さらなる研究と早期の産業化が期待されている．