はるかなる豚豚のルーツと未来:最終回都市の豚

摘要

本連載では、豚が家畜化された過程や、世界中のさまざまな飼育形態から、これからの養豚を考 えてきた。最終回では、豚の重要性が高まる途上国の都市部の事例を紹介しょう。豚と人との開わり方はさまざまである。豚は野生の イノシシを家畜化して生まれたものであるため、豚の 形や行動様式には、動物として継続している性質と人 の求める意図によって変化してきたものとが反映されている。例えば、前号（第2回世界の豚飼い一もう 1つの養豚の形）で紹介した遊牧豚の場合、生後1力 月の子豚でも1日に5km歩くことができる。大人の豚 は川で泳ぐことができる（写真1)。これらはいずれ も群れで移動しており、野生に近い豚であるとみなし てよいだろう。一方で人間は、飼料の経費を少なくし て繁殖力を高め、肉の質や量を高める努力を惜しまな かった。その結果、主として先進国ではさまざまな品 種が発達していった。経営の上では大規模な農場も展 開してきた。多数の消費者に安心で安全な豚肉を供給 することができたのである。