可搬式鶏舎を用いた野草地での放し飼いが地鶏に及ぼす影響

摘要

戦後のベビーブームに秋田の片田舎に生れ育った筆者には、地鶏といえば、次のような原風景を思い浮かべます。子どもの頃（昭和三十年代）には、田舎のどの農家や一般の家庭でも五羽程度を庭先で飼育していたようで、鶏小屋は庭の隅に手作りで建てるか、納屋などの中に囲いを作って鶏を収容していました。　子どもたちがその鶏の世話をし、エサとして市販の飼料に米糠や野菜屑、残飯を与えていたほか、ひよこ革など軟らかい革を、道端、畔、広場から採ってきてあげていました。また、近所の子どもたちもひよこ草などを手にして鶏を見るため、鶏小屋にしょっちゅう来ていました。来客のもてなし用にと、鶏の脚を枝に結んでぶら下げ解体するとき、子どもたちはおそるおそる集まっていたものです。