豚房内の汚れの違いが 臭気の発生に及ぼす影響

摘要

畜産経営に起因する苦情の内容別発生状況(平成25年度農林水産省調べ）では、1970 戸の苦情のうち1316戸、割合で61%が悪臭関 連であった。またどの畜種においても悪臭関連 の苦情が最も多い。臭気問題の解決が困難な 課題であるといわれる原因の一つにヒトの嗅覚 は臭気物質が50%減少しても、感じる強さがほ とんど変わらず、10分の1で元の臭気の半分、 100分の1で元の臭気の4分の1に減ったとしか 感じられないように臭気の量の対数に比例するこ とが挙げられる（川崎ら1998)。また堆肥化処 理施設ではロックウールや木質チップ、軽石など を利用した各種脱臭装置が開発、実用化され、 現地でも多く利用されている。しかし、家畜を 飼育している畜舎では脱臭装置はほとんど利用 されていない。これは畜舎では堆肥化処理施 設と比べてより多くの換気が必要となることから 装置が大規模になり、多額の設置費用がかか ることが挙げられる。そのため畜舎では一般的 な臭気対策として対策資材の散布や飼料への 添加などが利用されているが、ヒトの嗅覚によつ て明確に臭気が減少したと感じられる性能を有 する資材に関する報告は少ない（黒田2006)。