幸作り、牛作りで低コスト生産

摘要

さわやかな一筋の風、宮沢賢治がこよなく愛したイーハトーブの世界、うっそうと茂る大自然のなかのオアシス、ここ岩手県岩泉町には、北国の自然の厳しさのなかにも、やすらぎとすがすがしさが根付いている。 町の面積実に九九二、九〇加、本州随一の大きな町である（図一）。標高一〇〇〇～一三〇〇mの高山に囲まれ地形はきわめて剣粗で、耕地は少なく、林野率が高く酪農を営むには、決して好条件とはいえないが、古くから炭焼きと牛飼いを中心に栄えてきた。藩政時代の昔、貴重な塩を太平洋から城下盛岡まで塩の道と呼ばれる「小本街道」を運んだのが「南部午」であり、今でも多くの人々に愛され唄われている民謡「南部牛追唄」発祥の地でもある。 現在は、この塩の道にかわり国道四五五号線がとおり、随所で塩の道と交差しており昔の面影にふれることができる。 また、南北に石灰岩の層が走り、日本三大鍾乳洞の一つである龍泉洞をはじめ、安家洞、氷渡探検洞など鍾乳洞群のメッカでもある。