国内で検出される伝染性胃腸炎ウィルス 中和抗体の大半は豚呼吸器コロナウィルス 感染に起因する

摘要

伝染性胃腸炎(Transmissible gastroenteritis, TGE)は水様性下痢と嘔吐を主徴とするブタの 急オ生感染病である。本病はコロナウィルス科ァ ルフアコロナウィルス属の伝染性胃腸炎ウィル ス（TGE virus ； TGEV)の感染に起因する。 TGEVの感染性は暑熱や日光下で消失しやす い一方、寒冷条件下では長期間持続するため、 冬-初春に本病の発生が多い要因の一つと なっている。TGEVは感染豚の糞便中へ大量 に排泄され、直接接触や汚染物を介して経口 感染する。幅広い日齢の豚がTGEVに感染し て下痢や嘔吐を呈するが、若齢豚では発病率 ならびに致死率が高く、特に2週齢以下の哺 乳豚は、激しい下痢と嘔吐、そして脱水により ほぼ100%が死亡する。また、致死率は日齢と ともに低下する力、回復後の発育は極めて悪く 発育不良となるものが多い。このように、TGE は発生による経済的損失が甚大な疾病であり、 国内では家畜伝染病予防法により届出伝染病 に指定されているn。