兵庫県牛の育種価 の予測方法の検討

摘要

ほぼ全国の道府県で、黒毛和種の改良に育種価による種牛評価が利用されている。兵庫県でも黒毛和種の改良に育種価に基づく種牛選抜を取り入れているが、古くから閉鎖育種が行なわれ、また「神戸ビーフ」の要件として肥育牛の出荷先が県内の枝肉市場に限られるという特殊性が存在している。枝肉市場は育種における枝肉形質に影響を与える変動因と考えられ、黒毛和種の育種価の予測モデルの主効果に取り上げられている。評価対象となる種牛の後代が各枝肉市場に均等に出荷されていれば問題はない。 しかし、肥育農家は肥育牛の仕上がり具合によって、枝肉市場を選ぶ傾向がある。 たとえば、枝肉重量が大きく、よい肉質が期待できる肥育牛は、員産人が多く、高いセリ値が期待できる枝肉市場に出荷される。すなわち、枝肉重量の育種価が大きい種牛の後代は、重量の重い枝肉が集まる市場に多く出荷され、またその逆もあると予想される。この場合、種牛による出荷先の偏りが育種価予測値に影響する可能性がある。 そこで、後代の出荷市場の偏りとその偏りが育種価予測値に及ぼす影響を把握し、偏りのない育種価予測をする方法を検討した。