乳房炎防除に向けた新たなアプローチ

摘要

牛の乳房炎は、乳用牛において最も発生の 多い疾患であり、酪農経営に非常に大きな被 害を与えている。乳房炎は、病原微生物の侵 入（病原因子）が発症の原因であるが、それ 以外の畜舎環境や搾乳環境等（環境性因子） と生体の防御機能（宿主因子）も密接に絡み 合って、本疾病は発症に至る。そのため乳房 炎防除には、病原因子、環境性因子および宿 主因子の多岐に渡る要因を把握し、それぞれ の農場や乳用牛に適した飼養管理や、診療、 治療および予防を行うことが重要と考えられ る。そこでわれわれは、乳房炎防除に向けた診断、治療および予防の3本柱を研究テーマ に掲げ、新たな技術開発研究を行ってきた（図1)。本稿では、これまでに得られたそれら の成果について紹介したい。