躯規模移動放牧導入のための基礎的技術: 1．牛の馴致技術

摘要

放牧は牛を戸外で放し飼いすることであり、牛、土地および人間に対して、リスク（危険性）があることを十分に考慮しなければならない。 牛といえども感情を有しており、単に草地に放して、租飼料利用や草刈機代わりにするだけの動物ではなく、飼い主との信頼関係が必要である。 近年普及している電気牧柵は移動が容易で便利であるが、牛がひとたび興奮状態に陥ると容易に突破してしまうものであり、一種の心理牧柵である。住居や交通量の多い場所に近接する里地に放牧する場合は、脱柵した牛による耕作地での作物被害や公道での交通事故を招きかねない。