放牧酪農で地域を活性化させた足寄町放牧酪農研究会—足寄地区の畜産農家を指導し、放牧による経営改善をサポー卜した坂本秀文さん一

摘要

北海道の東部、十勝地域の東北部に位置する足寄町は、1408km~2の面積を擁する、日本 一広い町として知られている。しかし、その ほとんどが森林原野であり、耕作面積は1万 3000ha足らずで耕地率はわずカ9.6 %にすぎない。農業の特徴は、酪農、肉牛経営が盛んで和 牛と馬の飼養頭数は十勝管内随一である。畑 作では、豆、てんさい、麦、長いも、バレイショ、ごぼう等が生産されている。農産加工 品としてはラワン蔣、山菜加工品、足寄力マ ンベールチーズが有名である。酪農は標高が300-500mの中山間地域で 営農し、冷涼な気候のためにサイレージ用デ ントコーンの登熟が不十分で、しかも傾斜地 の多い地帯である。そんな足寄町開拓地で、草地資源の有効活 用をする集約放牧酪農によって、コスト削減 や労働の軽減など肉体的、時間的、経済的な ゆとりを創り出した、その地域リーダーを考 えてみたい。