畜産と耕種の有機的結合を進める岩手県一戸町奥中山

摘要

奥中山を訪ねたのは5月の中旬だった。 その3、4日前の遅霜で、せっかく咲き始めたフジめ花が見る影もなくしおれていた。 岩手県一戸町の南に位置する奥中山地域は、年間平均気温が7．7度、冷害常襲地の岩手県でも北上山系にある玉山村の薮川地区に次いで2番目に気温の低い地域だ。もちろん内地で2番目、札幌より低く、帯広並みという。 無霜期間が4カ月ほど、その遅霜に出会ったのだ。 農耕期間は半年に過ぎない。 東京から青森に通じる国道4号線の一番高いところが奥中山で、標高500メートル弱。 この地域は標高320メーヒルから800メートルの高原地帯となっている。戦前は陸軍の軍馬補充部の放牧地として使われていた。 苦から、馬の放牧地は農耕の不適地が多く、気象の厳しさから耕作がむずかしかった。