マイクロ灌漑と部分灌漑法

摘要

マイク口灌漑は作物にとって最適な土壌水 分環境とするために、必要な水量を必要なと きに必要な場所に給水することを目的としま す。マイクロ灌漑は節水灌漑法として発達し て来ましたので作物の根元だけに適量を灌水 する部分灌漑に適した灌漑法と言えますが、 灌水装置が小規模かつ軽量であるため全面灌 漑にも広く利用されています。部分灌漑法と 全面灌漑法の選択は作物の種類、栽培方式、 土壌条件、気象条件、水源水量、灌漑目的、 水質、経済性等の諸条件を考慮して決めます。部分灌漑法は畝間を広く開けて栽培する作 物（メロン、キユウリ、トマト、イチゴ等） に適用されます。部分灌漑には主としてドリップチューブ、多孔チューブ、マイクロジェ ット等が用いられますが、果樹などの根元部 分の灌漑にはマイクロスプリンクラーも用い られます。部分灌漑法が適用される圃場では、 作物は個体状態か列状態で栽培されますので、水消費は図1に示したように、作物の蒸散、土 壌面に形成された湿潤部分からの蒸発、深部 への浸透となります。土壌湿潤面からの蒸発 量は損失水量となりますがビニールマルチの 下に灌水チュ一ブを敷設している場合は蒸発 量が小さくなります。また部分灌漑では作物 こ必要な水量だけを根元に灌漑するため浸透 量も小さく抑えることができます。灌漑水量 の決定は前回紹介した方法などで算定します。