EMCと磁性材料

摘要

電子機器のEMC（ElectroMagnetic Compatibility）は，無線通信に障害を与える妨害波（EMI：ElectroMagnetic Interference）の抑制と，外部妨害波からいかに耐えうるかの妨害波耐性（イミュニティーと呼ばれ，主に電子機器の誤動作など）の向上を目的としています．最近では，アナログ/デジタル回路の混在やGHzの高周波を扱うことメゾが多く，機器内部での相互干渉対策が重視されています.EMC対策の始まりは，電子機器のイミュニティー問題からだと思います．デジタル機器が普及し始めた境から誤動作は多発しました．その対策で多額の費用を失った経験をもつ諸先輩の方々は少なくないと思います．イミュニティー試験機を用いた耐性性能は，伝導インパルス試験で100V以下，静電気放電に至っては50V以下と，現在では考えられない低レベルでしかありませんでした.このような対策に，Mn-Zn系やNi-Zn系フェライト磁性が大量に使用されました．