熱電材料の磁場効果

摘要

本稿では，温度差発電による冷熱回収を大きな目標として，低温用熱竃材料の開発のために，熱竃材料の磁場効果を検討した結果を紹介する．磁場中での熱竃特性に関する研究は古く，ある種の材料では磁場を印加することにより，熱竃変換効率が向上するという実験結果が得られているものの，その物理については十分には理解されていない．本稿では，はじめに緩和時間近似を用いたボルツマン方程式から，熱竜特性の磁場依存性について概観する．また，磁場効果は試料形状にも依存してぶり，その影響についても議論する．試料形状を制御した熱竃素子として，マイクロワイヤーアレイ構造熱竃素子に着目し，その磁場効果に関する最近の実験結果を紹介する．最後に，熱竃特性の横磁場効果として知られるネルンスト効果が低温で量子化される，量子ネルンスト効果についても紹介する．