ひさびさ中村紘子の新録SME-JのSACDを聴く

摘要

ソニー·ミュージックから待望のSACDクラシック新録音盤がリリースされた.中村紘子の演奏で,得意のレパートリーであるショパンのソナタ2／3番と,舟歌,ノクターン1曲づつの組み合わせである.オーディオ·マニアにとっても,SACD本家のソニーからのSACD新録音という待望の贈り物であり,音楽ファン,とくに紘子ファンにとっては，演奏活動よりもコンクール審査員を初めたとした演奏外での活動が目立つ最近の中村紘子氏が，どんな演奏を聴かせてくれるかが興味をそそられるディスクである.のっけから注文をつけるようだが，SACD生みの親であるソニーが,プレーヤを充実させ，ハード面でSACDの普及に力を入れていながら,ソフトのフォローがきわめて不足していることは衆知のとおりである.毎月発売されるポップ系のPCM録音の焼き直し盤や,たまに発売されるクラシックの焼き直しを聴くためにSACDを開発した訳ではなかろう.