新商品開発のためのスコアカ一ドとその活用法の提案

摘要

本稿は,新商品開発のための簡易的なスコアカードとその活用法を提案するものである。 この「新商品開発スコアカード」は25の設問からなり，自己診断により自社の強み·弱みを知り，新商品開発の推進を改善する観点から何をどのように，どのレベルまで，ということを知るために企図したものである。本スコアカードを用いて多くの業種を網羅する実態調査から,まず新商品開発の実践に潜在する"開発戦略と組織""開発技術力とその成果"源流管理","ツール／情報技術"という4つの因子からなる構造を明確にした。 その上で業種間の差,そして本スコアカ一ドの得点がどこまで実際の経営上のパフォーマンスに結びついているか，さらに同時に実施したTOC（制約理論）の中のCRT（現状問題構造ツリー）での分析結果との比較についても考察した。 その結果"開発戦略と組織"の得点が最も経営上のパフオーマンスに結びつくこと，本スコアカードがCRTに比べて短時間で具体的な方向性を知ることで優位性をもつことを明らかにした。 加えて,同一企業の異なる職位階層での調査を行い，本スコアカードが改善の方向性の共通認識を晩成する上で有用であることも示した。