単純X線撮影が不可能な状況下で転倒した高齢者を診療する際の心得

摘要

膝に外傷を認めたら手や手関節もチェックす る.背部に外傷を認めたら頭部もチェックする. 転倒した先に障害物があれば，それによる二次損 傷も考える.データ上も，前方転倒では膝の骨折が22.8%,次いで手および手関節の骨折が 15.8%,側方転倒では大腿骨骨折15.4%,足部外 側が13.8%，後方転倒では腰部21.4%,足関節 143%とある.また，鎖骨以上の外傷をみたら頸椎外傷を，下 位肋骨骨折をみたら腹部臓器損傷を意識すること も大事だ2).その方にとって高度のエネルギーが かかる機転であつたと見込まれるなら，体幹部，骨盤の診察は必須であろう.