塩ビ樹脂

摘要

塩化ビニル樹脂（塩ビ）は汎用プラスチックの中で最も古く，ドイツで工業化されて今年83年になる。日本では1949年頃から工業生産が本格的に開始され，雑貨物を中心にゴムや紙に一部代替し，高度成長期にインフラを支える生活基盤材 料として需要を伸ばしている。その後の構造改革期を経て，1997年に総出荷量260万t国内出荷201万tのピークを迎えたが，その時期に，環境問題の風評による塩ビバッシングが巻き起こり，その後の地道な取り組みによって過去の環境問題への誤解も払拭され，塩ビとその製品の環境特性が見直されてきた。しかし，土木·建材分野の比率が高いため，公共投資や住宅着工件数の減少の影響を受けて，国内出荷は最盛期の約半分に止まっていた。ここ最近は，東日本大震災後の復興に，インフラ整備や住宅建設の面から塩ビの需要が高まっている。