米国の貿易政策転換を象徴するアジア産コート紙への相殺関税適用

摘要

米国がアジアの上質コート紙に対して補助金相殺関税およびアンチダンピング関税を正式に適用する公算が強まったことは、世界のコート紙需給に大きな影響を及ぼしそうだ。今回、相殺関税を適用されたアジア3ヵ国の平均税率は中国が18.2％、インドネシアが21.2％、韓国が1.8％。低率の韓国はともかく、中国とインドネシアは向こう5年間にわたって事実上、米国市場から閉め出される形となる。日本では今年、大王製紙と日本製紙の両社が国内で9年ぶりとなる大型コート紙マシンを相次ぎ稼働させるが、どちらも米国、アジアを中心とする輸出市場に注力する方針を打ち出している。ライバルの閉め出しで対米輸出がしやすくなるという意味では、今度の米国の措置は日本にとって朗報かもしれない。