持続可能なサプライチエーンとインクルーシブビジネス 理念は「三方よし」の近江商人哲学

摘要

2020年の東京オリンピック•パラリンピックに向けて、日本の公共調達姿勢が試されようとしている。環境とビジネス、人権とビジネスといった議論は従来にも増して活発になるだろう。しかし建設現場では人手不足を理由に、技能実習生制度に名を借りた外国人労働者に対する搾取が行われているとの指摘もある。オリ•パラで使用するユニフォームやシューズ、ボールなどのサプライチェーンにスウェット•ショップ(貧困層を搾取する工場)があってはならない。——こうした問題意識に基づきジェトロ•アジア済研究所は今年2月、「持続可能なサプライチェーンと倫理的貿易」と題した国際シンポジウムを世界銀行、朝日新聞社との共催により東京•渋谷区の国連大学で開催した。当日は国際金融公社開発インパクト担当局長、増岡俊哉氏による「持続可能なサプライチェーンとインクルーシブビジネス」、国際NGOネットワークのソリダリダード代表、ニコ•ローツェン氏による「意義ある変革のために」と題した基調講演のほか、伊藤忠商事広報部CSR•環境室長、小野博也氏らのパネルセッション報告、さらに後段ではこれらの講演•報告者を交えたパネルディスカッションが行われた。ここでは国際金融公社の増岡局長による講演要旨を紹介する。