中国の過剰生産·過剰輸出リスクにどう対応するのか

摘要

「チャイナ•リスク」というのは数年前まで、過激な反日デモに象徴される無法状態に日系企業がさらされることだった。今は中国経済の低迷が、この国に投資や輸出を行っている企業の業績を危うくするという意味で使われる。以前のリスクは日本だけが対象だったが、今のリスクは全世界に及ぶ。当然、今の方が問題は深刻だ。識者によると、今の中国では投資·生産が低迷しているものの、消費は引き続き底堅い動きだという。問題は過剰債務·過剰投資により、民間(非金融)部門の債務力s約2,500兆円にまで膨れ上がっていること。対GDP比率では先進国や新興国を上回り、200%を超える水準になっている。経済産業事務次官の菅原郁郎氏によると、そのうち企業部門の債務は「日本のバブル期を超える水準まで拡大」しており、中でも「鉄鋼やセメントなどの業種で過剰な設備を抱え」ているという。この過剰設備が世界の市場に出口を求めれば、需給バランスは瞬く間に崩れ去る。現に鉄鋼は中国の過剰輸出で市況が悪化しており、世界の大手は日本を除けば大半が赤字と言われる。国内最大手の新日鐵住金が日新製鋼を子会社化するのも、高炉を集約して稼働率を上げ競争力を高めるためだ。鉄鋼と比較されることの多い紙パも中国の過剰生産•過剰輸出に直面しているという点で、境遇は同じだ。「高炉」を「連釜」や「抄紙機」に置き換えれば、そのまま紙パの話題としても現実味を帯びてくるのだが…。