胸を張って世界へ発信したい特異な市場の素晴らしさ

摘要

新年早々に届いた日本製紙新聞営業本部の広報紙『かわら版NIPPON』1月1日号に、興味深いデータが掲載されている。紙•板紙の消費で2005年を起点とした14年の増減率をみると、日本は諸外国に比べて新聞用紙の落ち込み幅が小さいという。すなわち日本の場合、14年の対05年増減率は紙•板紙合計が△14.5%で、新聞用紙が△15.4%と1%未満の差。これに対し米国は紙•板紙合計△20.5%、新聞用紙△60.5%と極端な差がある。米国ほどではないにせよ、欧州も紙•板紙△12.2%、新聞用紙△32.8%と落差が大きい。欧米圏ばかりでなくアジア勢についても、韓国は紙•板紙+10.6%、新聞用紙△37.3%、中国はそれぞれ+69.8%、△3.0%である。この結果、紙•板紙合計に占める新開用紙のウェイトをみると、日本は05年;11.9%→14年;11.8%と概ね横ばいだが、米国は9.9%→4.9%、欧州；12.0%→9.2%、韓国；13.5%→7.7%、中国5.6%→3.2%となっている。同社の前田高弘新聞営業本部長は、この日本と諸外国の差について「日本の新聞販売店網の存在が大きく、海外のような急激な部数減を防ぐ要因になっている」と分析している。そう言えば本誌が昨年12月7日号で取り上げた2014年の品種別需要構成比でも新聞用紙の世界平均は6.5%だった。日本が特異な市場であることは確かだが、だからといって悲観する必要はない。むしろ毎朝定時に日刊新聞が家庭や職場に届き、それぞれにとって有為な情報を必要に応じて広く•狭く、深く•浅く吸収できる社会インフラの素晴らしさを、世界に胸を張って発信していってもよいのではないか。