ディーゼル卜ラック輸送の制限に乗り出した中国

摘要

環境規制の強化を進める中国政府が再生原材料の輸入制限に続き、深刻化する大気汚染の改善に向けてディーゼルトラックによる輸送を制限する方針を打ち出した。中国の環境保護省は今年8月、28都市を拠点と する数万規模の企業に対し、大気汚染が悪化する冬季期間中のディーゼルトラック利用について11月1日ま でに半減させるよう命じた。同省はまた、鄭州新力電力や邢台鋼鉄など20以上の電力および鉄鋼会社に対し、 より厳格な恒久的目標を省令で示し、輸送の半分以上を鉄道に振り替えるよう指示した。一部の地域ではト ラック輸送に対し、過去にない厳しい締め付けを始めている。例えば河北省と河南省中部において、一部の鉄 鋼会社は現在5~6割に過ぎない鉄道輸送の比率を最大9割まで高めなくてはならない。トラック輸送の制限 に先立ち、今年は主要港湾都市内でのディーゼルトラックによる石炭輸送を禁止する政令が出された。中国の 輸送物資は2016年に430億tを超えたが、うち高速道路を利用した輸送が77%を占め、鉄道輸送はわずか8% のみ。これを一気に鉄道主体へとモーダルシフトを進めようとする輸送改革のインパクトは大きい。さらに一 連の政策は中国の環境重視姿勢を内外に強く印象づけるとともに、中国全土に張り巡らされた世界最大級と なる約12万kmの鉄道網を活用して国内企業と海外市場を結びつけ、一大貿易圏を築こうとする政府の「一帯 一路」構想に沿うものである点にも留意しなければならないだろう。