中国に加えインドの存在感も高まりつつある世界古紙需給

摘要

本誌2016年12月5日号では世界各国•地域の紙パルプ需給について、「紙•板紙」製品を中心に概観した。今回は同様の手法で原料の「古紙」について取り上げる。2015年の世界古紙需給は回収量が前年比1.8%増の2億4,069万t、利用（消费）量が同1.7%増の2億4,064万tとなった。回収•利用とも高い伸びとは言えないが、同年の紙•板紙生産が0.4%増、パルプ消費量が0.2%減だったことからすれば健闘した方で、パルプから古紙への置き換えが15年も着実に進んだと言えるだろう。古紙を優先的に使うという流れは経済性の面だけでなく、資源の循環利用や低環境負荷という社会的なニーズ面からも世界各国で定着しつつある。繊維の質ではフレッシュパルプに劣っても、コストパフォーマンスや巿場の好感度という点で古紙には大きなアドバンテージがある。この結果、世界の古紙利用率は15年も引き続き上昇し、前年比0.5ポイント(pt)増の55.8%に達した。また回収率の方は前年を0.8pt上回り、58.6%に達している。