〈増設ラッシュの一方で衛生環境が劣悪な国も…〉先進圏と途上圏のギャップが大きい世界の衛生用紙市場

摘要

衛生用紙分野への設備増強投資が活発化する中、昨年に続いてファストマーケッツRISIの『Annual Review of Global Pulp and Paper Statistics』(アニュアルレビュー)を用いて、国·地域別にみた世界の衛生用紙需給を概観してみる。昨年の本欄では「紙は文化のバロメーター」という言葉の主役が、それまでのグラフィック用紙からパッケージング用紙、あるいは絶対量は少ないながらも衛生用紙に変わってきた流れを振り返った。この主役交代を加速したのが2020年に勃発した中国発のコロナ禍である。感染の世界的拡大につれて人々の衛生に対する意識が高まり、マスクなどと並hでぺーパータオルに代表される衛生用紙の需要が(時にパニック買いを伴って)急増した。また感染予防には人と人との接触機会を減らすことが最も効果的という知識が広まった結果、eコマースがさらに隆盛を迎えるようになり、先進圏を中心に宅配用の段ボール需要が大きく伸長した。