〈プラス•マイナス両面に出たコロナ禍の影響…〉: 紙の輸入減と板紙の輸出増で出超幅が再び拡大した紙類貿易

摘要

2020年はコロナ禍に始まりコロナ禍のうちに越年した印象が強いが、この未曾有の危機が米国卜ランプ政権の終焉と重なったのは皮肉である。両者に共通するのは、現象そのもののピークは過ぎ去っても後遺症は長く続きそうだという点。また、潜在的にあった社会の分断や断層を可視化させたという点でも、コロナ禍とトランプ政権の4年間は重なり合う。貿易は多くの場合、顔の見えない相手との取引だから、相互の信用•信頼関係が欠かせない。その信用を担保する手段として世界では、16世紀の重商主義経済の始まりとともに銀行為替による決済やし/Cの開設、各種貿易保険などの制度が発達してきた。言うまでもなく貿易は、勝つか負けるかの「ゼロサムゲーム」ではない。双方がそれから利益を得ることができる互恵のシステムである、というのが近代以降の考え方だ。しかし卜ランプ政権の対外経済政策は、自国の利益を最大化することに主眼が置かれていた。妥協点を模索するのではなく、対立軸を先鋭ィヒすることによって相手に高いハ一ドルを突きつける。自由貿易とは真逆の発想であり、したがって米国のTPPからの脱却は政権の必然的な選択だった。