〈19年度の投資額は前年比16％増の3,335億円…〉段ボール原紙、家庭紙を中心に活発化する製紙業界の設備投資

摘要

製紙関連企業15社の2019年度設備投資額は前年度比+16.0％(同173億円増)の3,335億円に達した。連結売上高に占める割合は平均で5.91％(前年比+0.87pt)となり、6％近くまで上昇した——先に出そろった3月期決算の企業を中心とする各社の有価証券報告書から、設備投資の実績をピックアップした結果である。あくまで平均値であり、実際には業績を反映した投資マインドの大小や投資サイクル自体の波によって例年と同じく、増額の企業と減額の企業が混在している。一方、2020年度の設備投資計画を眺めると、印刷·情報用紙から板紙·段ボール原紙への転換に伴う抄紙機の新設·改造などへの投資が目立っている。またパッケージ部門と並ぶ、もうーつの成長期待分野=家庭紙への投資案件も目につく。その一方でここ数年、活発だったセルロースナノファイバーや脱プラスチック関連の投資は、すでに研究開発の段階から実用化·市場化の段階に入っていることもあり、設備投資にはー服感がみられる。