2期連続で前年実績を下回った紙加工関連業界の設備投資額

摘要

紙加工関連企業27社の2019年度設備投資額は前年比7.1%減の1,339億円と2期連続で前年実績を下回り、対売上高比率も4.37%と5%の大台を大きく割り込hだ——3月期決算企業を中心とする各社の有価証券報告書から設備投資の実縝を抽出した結果である。ちなみに同じ27社の19年度業績は売上高が同1.6%増の3兆677億円、経常利益が同△3.1%の2,065億円、利益率は6.73%と増収減益となっている。売上高に比して利益水準が低調な背景には、ここ数年続く原材料の値上げラッシュに製品価格の改定が追いつかないという構造的な問題が考えられる。一方、設備投資の内容を概観すると、まず、引き続き生産設備の省力化や効率化による収益改善を目的とした投資がみられる。また近年の海洋プラスチックごみ問題などを受けて、紙系包装材料事業の強化を図る動きのほか、物流の合理化を目指す投資も散見される。こうしたー連の動向から各社の狙いや方向性が自ずと見えてきそうだ。