日本だけでなく世界を変えた'ネット社会''デジタル化'の30年

摘要

本号「R&D情報」の末尾では、世界および主要国·地域別にみた紙·板紙の内需構成比を比較している。これによると、2017年時点の世界平均は[グラフィック系2996·パッケージング系58%·生活系ほか13%]。では、10年前の2007年時点（すなわちリーマン·ショックの1年前）はどうだったか。同じくRISIの資料から計算すると[グラフィック系40%·パッケージング系48%·生活系ほか11%]となる。つまり、この10年間でグラフィック系のウェイトが11ボイント（pt）低下し、パッケージング系が10ptアップし、生活系ほかが2pt増えている。2017年対2007年を増減率でみると、グラフィック系が22.7%、パッケージング系が+29.2%、生活系ほかが+19.7%と極めて対照的で、紙·板紙合は+7.5%である。10年間に世界の紙·板紙需要は年平均+0.73%の割合で伸びてきたが、その成長(減退)の度合にはかくも大きなギヤップがみられる。出版·洋紙の新年互礼会で、日本書籍出版協会の相賀理事長は平成の30年間を振り返り、「出版界においては"ネット社会""デジタル化"という言葉に象徴される時代だった」と述べたが（本号7頁）、これは日本社会全体にも当てはまるのではないか。それどころか世界全体を見渡しても、"ネット社会""デジタル化"が経済·社会を大きく変えてきた。AGFAというICT企業の4強が世界の富のかなりの部分を独占し、国家や国境の枠を越えて支配力を強めるような時代になるなど、30年前には想像できなかった。紙·板紙需要のドラスティックな構造変化も、こうした流れの中で起きていることを改めて感じさせられる。