中小企業だからこそ活用したい「健康経営優良法人認定制度」

摘要

健康経営を実践する優良な大企業や中小企業などの法人を顕彰する目的で「健康経営優良法人認定制度」がスタートしたのは2016年度。3年目を迎えて産業界の認知度は高まってきており、紙パ業界でも大手が主体だが認定を受ける企業が出てきている。ちなみに3回目となる「健康経営優良法人2019年」では、大規模法人部門に820法人、中小規模法人部門に2,503法人が認定されている。では、そもそもなぜ今、企業が健康を重視するのか——。東京大学政策ビジョン研究センターデータへルス研究ュニットは最近、「健康リスクの高い人と低い人の労働生産性損失額の差は年間100万円以上、従業員数100人の中小企業なら1億円規模の損失になる」という驚くべき研究成果を明らかにした。健康経営というとオフィスの分煙徹底とか定期健診のスコァ改善といったことばかりに目が行きがちだが、「そうではない」と経済産業省のゥェブサィト『METI Journal』が企業の成功事例も交えた特集を組んでいる。「(労働生産性の損失を最少化し)企業競争力を高めるための組織改革の施策の一つとして健康経営を捉えるならば、業界構造や市場特性など自社を取り卷く実情に合わせ、それぞれのアプローチで取り組める」（METI Journal)。その意味で重要なのが日本の雇用者の9割を占める中小企業の取組みだ。「健康経営は、経営資源に余裕のある大企業だけの取組みではない。人手不足が深刻化し、生産性向上が喫緊の課題である中小企業にとってこそ、従業員が心身ともに健康で活躍できる環境整備は大きな意味を持つ」（同）。関心はあるけれど、どこから手を付けてよいか分からないという中小のために、経産省や東京商工会議所では研修プログラムとして「健康経営ァドバイザ一制度」も創設。これまでに延べ2万人以上が受講しているという。より多くの中小企業が認定の取得競争に参加してほしい。