原燃料コスト上昇に伴う価格転嫁の遅れが深刻な製紙決算

摘要

紙パルプ関連企業の2018年3月期決算が出そろった。製紙部門を持つ株式上場10社の単純合算業績は、各社で相次いだM&Aの効果により売上高が前期比+6.2%(2,681億円増)の4兆5,973億円と高い伸びを示した。だが損益面では原燃料コスト上昇分の製品価格への転嫁遅れが響き、営業利益が同△15.8%(288億円減)の1,535億円(利益率3.3%)、経常利益が△4.6%(761億円減)の1,565億円、また特別損失が特別利益を上回った最終利益は△12.6%(125億円滅)の868億円と経常段階を除き2桁の減益となった。各社は当期中に印刷·情報用紙や衛生用紙、段ボール原紙、白板紙の値上げに取り組んだが、当該品種を取り巻く市場や需給の状況によって成果には大きな差が生じている。当然ながら設備能力の過剰感が少ない品種ほどスムーズな価格転嫁に成功しており、ここでも"板高洋低"の傾向がうかがわれる。