Capitalism, Alone：The Future of the System That Rules the World The Rise and Fall of Nations：Forces of Change in a Post-Crisis World

摘要

前書は実証的でありながら，議論は大胆かつ堅実である。私は政治学的視点から世界経済を見ているとき，昨年一番読みやすく，読みごたえがあった。世界経済が複雑な変動を遂げているときには，明快に書かれた本が歓迎される。議論も結論もわかりにくいのは困る。短期的な分析だけでも長期的分析だけでも困る。ミラノピッチはセルビア出身（旧ユーゴスラビア）で，もう長いこと世界銀行に調査研究を続け，現在は米国の大学で教授をしている。このミラノビッチとならんで，世界経済をみる視点で評者の好んでいる著者はルチール.シャルマである。シャルマはインド.ラジスタン州出身で現在は米国のモーガン.スタンレイにいるが，投資会社で働いているので.長期的な予測を嫌うが，急激な変化をその蕾の時に指摘し，顧客に愛されている。どちらも英語を母語としてはいないが，分析と文章は母語としていない人より明快なだけではなく，機知に富む。