タケシの体験的山のリスクマネジメント第31回山にも存在するさまざまな“格差”のリスク歳月を経て生じる変化がリスクの溫床となって顕在化

摘要

タケシのような単独行者が山小屋に泊まった時の大きな楽しみは、他の登山者からいろいろな山の体験談を聞けることです。タケシがまだ登つていない山の雰囲気やルートの状況などを聞いたり、タケシが登つた山やルートの体験を他の登山者と共有するのもまたよし。そしてもう1つの楽しみは、特に年配の登山者から昔の山の話を聞くことです。これがなかなか味わい深いものなのです。今回、タケシは蓼科山麓のとあるヒュッテに宿泊しています。タ食のあと部屋に戻り、たまたま同宿になった単独行の2名と車座になってよもやま話に興じていました。単独行の1人は古くから山歩きを趣味にしてきた御歳72歳のAさh、もう1人は定年退職して5年目というBさhです。食事中は、どの山はああだ、どのコースはこうだと各自の評論話で盛り上がっていましたが今は少しシリアスというか、ある意味社会論的なテーマに話題は移りつつあります。