北海道産人工林材の利用状況と建材開発の動向

摘要

森林•林業再生ブランや公共建築物等木材利用促進法などの施策推進,消費者や企業の環境志向の高まり,国際的な需給変化により,国産材利用の気運が高まっている。国内森林面積の約1/4に相当する森林を有する北海道ではカラマツとトドマツを中心とした人工林資源が成熟しつつあり,資源価値と利用可能性が高まっている。道内の木材自給率は2006年度から50%を超えているが,産業資材やパルプ等の用途が主体であり,建築材等の付加価値の高い用途が少ない状況にある。その背景には,道内造林木の樹種特性と未成熟材部の材質特性,積雪寒冷な気候風土,高断熱高気密住宅と過乾燥な室内環境,木材工業の生産品目と生産体制の独自性など,本州とは大きく異なる需給構造があり,持続可能な林業経営と木材産業の振興に向けて道産材利用の課題は少なくない。