100年のためのシームレスプロセス

摘要

2012(平成24)年12月，首都高速道路は，京橋〜芝浦間(4.5km)が1962(昭和37)年に開通してから，50年を迎えました.1964(昭和39)年の東京オリンピックまでには，4路線の計約33kmが開通し，現在その延長は約10倍の301.3kmに達しています.交通量1日約100万台，首都高速道路は首都圏の大動脈として機能し，災害への危機意識が高まるなか，首都圏における緊急輸送路としての機能も大きく期待されています.首都高速道路を通行する大型車の交通量は，東京23区内の一般幹線道と比較すると約5倍であり，また，床版設計の基本となる軸重が10tを超える軸重違反車両の通行も多くあります.このように過酷な使用状況に曝されているため，その損傷は年々増加しています.また，多くの複合的な疲労損傷発生に加え，捕強がきわめて困難な構造物も存在します.こうした維持管理上の問題に加え，急カーブ区間における交通事故や，ジャンクション合流部などのボトルネック箇所における渋滞の発生など，機能的な課題もあります.このような背景から，維持管理上の問題および機能的な課題を解消しつつ，長期にわたつて構造物を健全に保つため，「首都高速道路構造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会」を設置しました.