摩擦を考慮した動的解析結果の強化学習に基づくコンピュータビジョンを用いたキャスタ付き«^の地震応答制御

摘要

大地震の際，地域の災害医療拠点となる医療施設は，高価な精密機器の転倒防止を図るだけでなく，機能維持を目的とした対策が必要である。その対策として，免震装置で重要機器を保護すること，揺れが想定される機器を固定することなどが推奨されているが，後からの免震装置の導入は簡単ではなく，また固定が難しいものについては対策が困難である。そのため，大地震発生時に精密機器の破損や故障などにより医療施設の機能を維持できず，地震発生後の救急救命活動などの医療活動に大きな支障が出ることが懸念されている。実際に，透析設備が大地震の被害を受けて使用不能となり，患者の治療に大きな影響を及ぼした事例が存在する.また，多くの医療機器にキャスタが取り付けられているが，地震時に，キヤスタが固定されていると重心の高い機器は転倒し，キャスタが固定されていなければ機器が大きく動いて他の機器や壁と衝突し，損傷してしまったことが報告されているめ。キャスタを制御し機器の応答を低減できれば，医療施設の機能維持に役立つと考えらえる。また，キャスタの固定'非固定を適切な時間間隔で切り替えることで，変位と転倒角度の両方を安全なレベルまで低減できる可能性がある。