昆虫用運動補償装置を用いたオカダンゴムシの走光性の評価

摘要

本研究では，運動補償機構を備えた行動計測装置と，新たに開発した円筒型の視覚刺激ディスプレイを組み合わせたシステムにより，オカダンゴムシの走光性の評価を行った.まず，実験1として30分間一方向から連続した光刺激を提示した条件でのォカダンゴムシの行動計測実験を行った.つぎに実験2として，光刺激の提示方向が一定の切替周期(3条件：160s,40s,10s)で交互に切り替わる条件での行動計測を行つた.実験1の結果より，オカダンゴムシが有意に光刺激が弱くなる方向へ移動していることが確認された.このことから，オカダンゴムシは負の走光性をもつことが示唆された.また，実験2の結果より，刺激の切替周期が160 sのときに最も負の走光性が強まり，切替周期が短くなるほど負の走光性が弱まる傾向があった.とくに，切替周期が10sでは滞留時間の増加が見られ，状況に応じて必ずしも定型的行動をとるわけではないことが示唆された.