衛星測位技術へのカルマンフィルタの応用

摘要

自己の位置を知る（測位する）ということは，人間の生存に関わる大変重要な行為である.古くは天体観測にはじまり，羅針盤，機械式時計（クロノメータ）の発明を背景とした大航海時代，そして電気通信技術や宇宙技術の発展を経て人類は観測すべき天体（人工衛星）を自ら作り出すに至っている.衛星測位システムとしては米国のGPS(Global Positioning System)が有名であるが，近年ではロシアのGLONASS(Global Navigation SatelliteSystem)，欧州連合のGalileo，中国のBeiDou，日本のQZSS(Quasi-Zenith Satellite System).インドのIRNSS(Indian Regional Navigation Satellite Sytem)などが全世界的または地域的な測位サービスを提供している.たとえば日本付近では，上記のシステムを合わせると約50機以上の測位衛星が利用可能な状態となっている（2019年6月現在）.また，最近では2018年11月に日本のQZSS (愛称：みちびき）の正式運用が始まり，国内でも高精度衛星測位に対する期待が高まっている.