空圧式除振装置と磁気軸受に対する周期振動の補償

摘要

精密加工や精密測定で使用する産業機器は，機器の性 能を維持するために振動の影響を抑える必要がある.本 稿では，半導体の露光処理や電子顕微鏡による測定など で導入されている空圧式除振装置とターボ分子ポンプ を採り上げ，各装置に対する振動補償を考える.まず， 空圧式除振装置は除振台を支えるために空気ばねを搭 載しており，同ばねに圧縮空気が供給されている.しか し，コンプレッサによる圧縮空気の生成過程において空 気圧は変動するため，それが除振台を振動させる要因と なる.つぎに，ターボ分子ポンプは内部のロー夕を高速 回転させて排気する装置であり，たとえば半導体露光装 置のチャンバ内を真空に保っために使用される.同ボン プ内には能動型磁気軸受が内蔵されており.それにより ロータが支持される.一方，ロータの偏心，磁気軸受の 電磁力のばらつき，電磁石の設置位置のずれなどにより ロータに不釣り合い振動が生じる.その結果，回転の振 れ回りが増大することでケーシングに伝わる振動も顕著 になり，ターボ分子ポンプへの取り付け機器の局所振動 が励起される.さらに，不釣り合い振動により回転体の 弾性振動の固有周波数，すなわち危険速度の通過が困難 となる.