無電解Ni/Pd/Auめっきプロセスにおける各種接合特性に及ぼすNi皮膜の薄膜化の影響に関する検討

摘要

一般に，電気伝導特性に優れたCuが樹脂タイププリント配線基板(以降，プリント基板とする)の配線や電極材料として用いられており，プリント基板上には，各種電子部品がはhだ実装やワイヤボンディング実装により電気的に接続されている。この際，Cu配線および電極の表面酸化を防止するために，電解めつき法や無電解めつき法でNi/Au皮膜が形成されている。電子部品の高密度実装化に伴い.Cu電極の微小化，配線間の狭ピッチ化および複雑なCu配線の要求が高まり，無電解めつき法によるNi/Au皮膜形成の必要性が高まっている。次亜リン酸イオンを還元剤とした無電解Niめっき浴を用い，Cu上へNi皮膜を成膜する場合，無電解Niめっきの前処理としてPd触媒付与処理を施している。Cu配線のプリント基板に無電解Niめっきを行う場合，Cu配線間の樹脂部分にPd触媒が残存し，無電解Niめっき反応時に発生するH_2ガスが残存したPd触媒を活性化し，Cu配線間の樹脂部分にNiが析出する。そのために，配線密度が高いCu配線へNi皮膜形成を行う場合，電気回路が短絡する傾向を示す。そこで，Niめっき時にめっき対象物に衝撃(ロッキング)を与え.めっき反応時に発生する水素ガスを強制的に離脱する処理やPd触媒付与処理後にCu配線間の絶縁部分に吸着したPd触媒核の除去処理を施すことで，析出するNi皮膜の選択析出性を改善している。しかしながら，これら手法では，完全にCu配線間におけるNi析出を抑制することが出来ず，近年では，Ni皮膜の薄膜化が試みられている。Ni皮膜を薄膜化した場合，Ni異常析出を改善することが可能であるが，析出するNi皮膜の結晶が細かくなり，Ni粒界が増加するために，無電解Auめっき反応時にNi局部腐食現象が生じやすくなる。その結果，めっき後基板に熱負荷を加えた場合，NiがAu皮膜表面に拡散しやすくなり，はhだ接合特性やワイヤボンディング接合特性が低下する。そこで，無電解Ni/Pd/Auめっきプロセスを用い,Ni皮膜の薄膜化が試みられている。