労働経済・労働経済統計近代化の軌跡

摘要

この度、過去100年を超える日本の経済・社会の足取りを統計的にまとめた「新版　日本長期統計総覧」が刊行された。本稿は、その中の第4巻第19章労働・賃金の諸統計を総括し、我が国労働経済近代化の長期趨勢と労働経済統計充実の過程を略述したものである。振り返ってみると、近年の我が国労働経済事情は、民間設備投資の縮小と財政難から来る公的投資の抑制を主因として1991年（平成3年）以降10数年にわたり不況とも言える経済調整期を経験したが、2002年頃からやや明るさを取り戻しはじめ、04年以降は新しい成長軌道に入って先端部門から次第に好況の波に乗りつつある。