海外進出と日本の雇用: 新興国への海外進出を中心に

摘要

日本企業の海外現地法人数は、特にアジア新興国を中心に増加を続け、2012年度において海外現地法人数は23,351社(うち製造業10,425社、非製造業12,926社)、常時従業者数は558万人(うち製造業436万人、非製造業122万人)に達している(経済産業省『平成25年海外事業活動基本調査』)。一方、経済産業省『通商白書2012年版』によると、国内の全就業者数は、1991年の6,369万人から2011年には6,242万人へと約130万人減少したが、うち、製造業は500万人以上の減少であった。この国内就業者数の減少は、日本経済の長期低迷や人口減少•高齢化などの要因にもよると考えられるし、製造業就業者数の減少は、経済発展に伴う産業構造変化要因によるといえるだろう。しかし、ほぼ同期間に、製造業の日系海外現地法人の常時従業者数が300万人以上増加している(経済産業省『海外事業活動基本調査』各年版)ことから、日本企業の海外事業拡大が国内雇用に負の影響をもたらしたのではないかとの懸念が根強い。