国境を越えたアウトソーシングの発展要因は何か: 経済学と経営学で考察する日本経済への含意

摘要

1991年にノーベル経済学賞を受賞したロナルド・コースの「企業の本質」に準ずれば、インソースかアウトソースかを決定づけるのは市場における取引費用の大きさということになる。その多くは、分業先を探し出す検索費用、相手を吟味する調査費用、履行状況をモニターする監視費用などの「情報費用」といっても過言ではないだろう。今世紀に入り、情報技術(IT)の進歩とグローバルな普及が進んだことで、この費用は大幅に低下している。その結果起きているのが、企業と市場の境界だけでなく、国境をも越えたサービス活動のアウトソーシング、すなわちオフショアリングの拡大である。