Income Distribution in Asian Regions: Socioeconomic Analysis Based on Micro Data Since the Second Half of the 20th Century

摘要

世界経済の変貌により、国内所得分配の不平等の拡大が多くの国々で報告されている。所得水準が極めて低い国々では絶対的貧困が喫緊の課題である。経済発展の軌道に順調に乗りつつある途上国も道のりは平坦ではない。これらの国々では、クズネッツの逆U字仮説の前半部分が示唆するような、所得成長に伴う必然的な帰結とも考えられる不平等の拡大が進行しつつある。先進諸国の所得格差の拡大も広く観察される現象である。日本では、バブル崩壊後の経済低迷とグローバル化に伴う労働市場の構造変化や人口構造の高齢化に伴う所得分配の不平等化が論議されている。